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フランク・ロイド・ライトの思想をめぐる言葉たち
フランク・ロイド・ライトは、著書、講演、雑誌論文等によって非常に多くの言葉を残しています。
「私に建てさせたのと同じ衝動がこれを書かせたのである」
ライトの最後の著書『The Living City』にてこう書いているように、彼が言葉を記す際にも、建築設計と同様の衝動に突き動かされたと表現しています。
そうであるならば、彼の言葉に触れることは建築作品に触れることと同じ意味を持つと言えます。これらの言葉は、ライトという一人の建築家によって建築作品が生み出された瞬間を理解するための重要な手がかりを与えてくれるはずです。
以下にフランク・ロイド・ライトの建築思想での主要キーワードをめぐる言葉をご紹介します。
有機的建築 organic architecture
“建築”が本質的なものだからこそ、それが有機的であるというのだ。
“The Living City”, Horizon Press,New York,1958
“純粋な建物”であることが、建築が”有機体”であるべきことを示している。 「全体が部分に対してあるごとく、部分が全体に対してある」ことに根ざして。”生きたもの”であり得るのは、そのような実在だけだ。
“A Testament”,Horizon Press,New York,1957
形と機能 form and function
“有機的”であるために今われわれが学ぶべきことは、形と機能が”1つ”である、ということの”理解”である。
“The Living City”, Horizon Press,New York,1958
構造 structure
形態は構造の必然の結果である。形態なしに構造はなく、構造なしに形態はない。
“Architecture and Modern Life”, Harper & Brothers Publishers, NewYork, 1937
デザイン design
内的な真実を最も豊かに明らかにするデザインが、最良のデザインである。
“A Testament”,Horizon Press,New York,1957
フランク・ロイド・ライトは、建築におけるあらゆる造形の本質は”自然”と人の”ライフ”より学ぶべきものと考えていました。それが有機的建築に至る思想の根底でありかつ、揺るぎない理想です。
そうした理念が伝わる言葉は以下の通り。
自然 nature
劣った精神は、比較だけによって解釈する。優れた精神は分析、即ち自然の探求によって解釈する。
“A Testament”,Horizon Press,New York,1957
大地 earth
建築とは、人が自らの大地を持つための、素材や方法そして人を超えた、人間の想像力の勝利である。
The Logic of Contemporary Architecture as an Expression of Age, The Architectural Forum, May 1930 “The Collected Writings of Frank Lloyd Wright”,B.B. Pfeiffer ed., 5volumes,Rizzoli, New York 1992-1995
自由 freedom
解放(liberty)は、許され与えられるかもしれない。しかし自由(freedom)は、与えられるものではない。自由は内からのものだ。
“A Testament”,Horizon Press,New York,1957
ライフ life
人間のライフの表現こそが、世界が必要とするものであり、民主主義が保持すべきものである。そのようなライフに根を下ろし、人間の思惟において成長し美しく展開する表現。内的原理に従って、太陽に魅せられながら、偉大な樹木がその土壌から大気に向かって育つのと同様に。
In the Cause of Architecture V: The New World, The Architectural Record, October 1927, “The Collected Writings of Frank Lloyd Wright”,B.B. Pfeiffer ed., 5volumes,Rizzoli, New York 1992-1995
建築家 architect
「芸術家-建築家(artist-architect)は、自然の本性(the nature of the Nature)に対する愛によって鼓舞された人であり、人間が建築のために作られたのではなく、建築が人間のためにつくられたことを知る人である。
“A Testament”,Horizon Press,New York,1957