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フランク・ロイド・ライトの「生きている街」にインスパイアされたファッション
フランク・ロイド・ライトは、1930年代から郊外のユートピアコミュニティとも言える「ブロードエーカーシティ(Broadacre City)」の構想を発展させていきます。グリッド状に余裕を持って配置された低密度の住居群は、並行する農地とともに郊外のランドスケープと調和しています。
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1932年に書かれた「The Disappearing City(消失する都市)」から、ライトは高層ビルが建ち並ぶ一極集中的な巨大都市は、通信と交通の発展により将来的に消滅すると考えていたようです。この議論は、現在の超高速インターネットと自動運転が都市にもたらす影響を考えるととても興味深いものです。
1958年のブロードエーカーシティについて書かれたライトの最後の著作「The Living City」。ファッションレーベルOPENING CEREMONYは、2016年の春コレクションを同じ名前で展開しました。
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OPENING CEREMONYは、ウンベルト・レオンとキャロル・キムによる、ニューヨークを拠点とする高感度なセレクトショップ。2人は、2019年6月まで、ケンゾー(KENZO)のクリエイティブ・ディレクターを務めていたことでも知られています。ファッションと建築は一見縁遠そうな印象ですが、ライトのユートピアシティにインスパイアされた、OPENING CEREMONYのコレクションについて見ていきましょう。
2015年9月のニューヨーク・ファッションウィークのOPENING CEREMONYのコレクションは、ウォールストリートの洞窟のような空間がセットでした。ライトの建築を自然環境と調和させるアプローチを取り入れ、中央のランウェイを無数の緑の鉢植えが取り囲むガーデンセットが造られました。ライトのJacobs houseなどの「ユーソニアン・ハウス(Usonian House)」建築の中庭スペースをイメージしたもののようです。すべての植物はショーが終わった後、ブルックリンの食育NPOのEdible Schoolyard NYCに寄付されました。
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Jacobs house via: australiandesignreview.com
コレクションにはライト建築のあからさまな引用はありません。水平と垂直ラインのミニマリズムや、落水荘のカンチレバー(片持ち梁)によるテラスの造形などが、アイテムの所々に見え隠れします。
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グッゲンハイム美術館のシェイプを思わせるジャケットには、貝の形の大きなゴールドのボタンがアクセントになっています。
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ライトの熱烈な日本の浮世絵コレクターとしての側面も取り入れられています。日の丸の大胆なアレンジは、ワンピースをタコの足のように見せてユニーク。造形がどことなく浮世絵チックです。
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チャイナドレスのような黒のシルクジャケットには、ラフな盆栽ドローイングをプリントしてストリート風に。
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ショーの終わりには、ニューヨーク・シティ・バレエ団が、モデルと混じり合ってダンスパフォーマンスを披露しました。ウンベルトとキャロルにとって、ライトのユートピアコミュニティ、自然環境との調和、サステナビリティの思想に加えて、ダンスをライトに捧げる意図があったのかもしれません。 2人によると、ライトはモダンダンサーだった自分の娘のショーのセットを、度々手掛けていたと説明します。
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イオバンナ、オルギバンナ、フランク via: azcentral.com
このダンサーのライトの娘とは、イオバンナ・ロイド・ライト(Iovanna Lloyd Wright)のことです。ライトの3番目で最後の妻オルギバンナ・ロイド・ライト(Olgivanna Lloyd Wright)との娘で、彼女自身もグルジエフに師事し舞踏を踊っていました。イオバンナは、タリアセンで建築を学ぶ学生たちにムーブメントと呼ばれるダンスを教えていました。イオバンナ・ロイド・ライトは、2015年9月7日にカリフォルニア州の老人ホームで、89歳で亡くなりました。
ちなみに、OPENING CEREMONYのフランク・ロイド・ライト”CHILD OF THE SUN” Tシャツは、可愛くてオススメ。Child of the Sunは、ライトがブロードエーカーシティ構想に基づいて設計した、フロリダの大学キャンパスの通称です。
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